mahaloco物語 第3話

子供のカット


僕が密かに髪型の仕上がりで意識していることは、大人の髪型でも子供の髪型でも、仕上がった雰囲気はその人のお母さんの悦びと繋がっているか。だったりします。昨日も三女のカットをしたのですが妻が喜んでくれているのが何よりとても嬉しかった。


我々大人は、親に色々なきっかけを与えてもらって大人になりました。僕は「子供は親の与えた環境をきっかけに個々の才能が育つ」と考えている美容師です。食べ物も、学校も、住むところも、遊びも、全ての環境は親がきっかけを創っているかと。


「まだ子供だから」と言って大人は子供を舐めてかかりますが、子供はちゃんとその体験を肥やしに成長するんです。子供にとって学校の先生とか、習い事の先生とか、美容師とか、看護師さんとかって、子供にとって親以外の知っている身近な大人の姿なので自分自身が「いいね」って感じる大人との触れ合いが大切。

そして子供は心の成長とともに行動や言動が変わります。長い間担当させてもらっているお客様の中に、生まれてすぐの頃からずっと髪を任せてもらっていて、現在高校1年生になった男の子がいるんですが中学生の頃はもう大変でした。


中学の反抗期の時期、お母さんは「受験なんだしお願いだから短くしてちょうだい」と子供に言うも「うるせぃー!俺の髪の毛だから俺の好き勝手にさせろ!」と猛反発。数年前まではカット中、永遠に「4文字熟語しりとり」やって楽しんでいたのに。って感じですよ。


その彼がカット中あまりにも母を困らせているもんだから、思わず、


僕:「俺、今日お前の髪切る気なくした。他の店に行ってこい!」と彼にキレました。そしたら、


彼:「俺金ねぇーし、それは無理。俺の髪なんだから俺の自由にさせろ!」と言うもんだからすかさず


僕:「じゃー1000円で切れるとこあるんだから、俺1000円お前にやるから、そこ行って好きな髪型にしてこい!とにかく今日は切らない!甘えてんじゃねーよ!」とブチギレ。そしたら


彼:「他行ったって終わった後アイスないし!」


僕:「はっ!お前、何行ってんの。アイスはどこの美容室行ったってありません!あるわけねーだろ!」と爆笑をこらえながらブチギレ。そうこうしているうちに、結局母の言うこと聞いて髪を切って、お約束のアイス食べて。


そして、そんな彼が高校生になって先日は「どうやったら彼女が出来るか」と相談しながらカットして。そして、終わったらいつものあのアイス食べて、、、



親子って子供の成長とともに気持ちなかなか通じあわず、お互いがモヤモヤする時期があります。僕は美容師ってそこの親子の間をちょっとだけ担うこともできる職人でもある。


髪型の要望って、その人の心の成長具合がよく見えるんです。でもって髪の相談ってお腹の痛みを口で説明するのが難しいのと似ててすごく難しいんです。いくら我々美容師が「相談だけでもどうぞ」って言ったってお客様側はそうはいかないのが現状です。一言では言い表すことのできない心のモヤモヤに触れて、いろんな話して、髪型でその人の次へのきっかけをつくる。


僕はそんなことが好きだからそう思って「なんでも気軽に相談できるように」と、美容室内にカフェを併設したんです。美容師以前に出逢えて、髪を切るわけでもないのに通えて、やがてお話できるようになって、安心されるようになって、そのうちなんかのきっかけで髪の相談をして貰えればと思いまして。


僕は話を聞いて、僕なりの提案をさせてもらって、髪型を通じて自分に自信をつけたり取り戻したり、自分の未来を育てるお手伝いをさせてもらえるだけで幸せなんです。


美容師はみんなそれぞれ得意な仕事があります。要望を聞いて要望通りにデザインするのが得意な人。提案して髪型をつくるのが得意な人。カラーが得意な人。アレンジが得意な人。ヘッドスパが得意な人。ショートヘアが得意な人。流行に敏感な人。ダメージケアが得意な人。


お母さんにとって子供のカット料金って気になるところだとは思いますが、髪型は心の成長の過程において心の状態が現れる箇所です。


そして、心からの悦びって結果だけではなく成長の過程と繋がっているんです。


だからこそお母さんは、お子さんを習い事を選んでそこに預けるように、お母さん自身が「いいな」と思う美容師に預けるつもりで美容室を選んでみると良いですね。


そして、そんな気持ちで選んでくれたら、我々美容師もすこぶる嬉しいのです。



相談だけでも是非どうぞ!


Mahalo!

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